
2022年2月21日にunitX運営のもと開催された「トレードワルツ学生デザインコンペティション(以下:コンペ)」の最終審査会で優秀賞を受賞し、翌3月からインターン生として株式会社トレードワルツにジョインした本部有叶さん。なんと、現役の高校2年生です。
学業や部活、生徒会、そしてインターンと多忙な生活を送りながらも、インターンを始めてからの方が学校の成績は伸びているそう。 自らのスキルアップのためにさまざまな挑戦をしてきた本部さんに、これまでの取り組みやトレードワルツで1か月間働いた感想、将来の夢についてインタビューしました。
株式会社トレードワルツは、貿易DXを推進するスタートアップ企業です。NTTデータや三菱商事を始めとする国内大手10社の共同出資のもと、2020年4月に設立しました。紙をベースとしたアナログ貿易の完全電子化を目指し、ブロックチェーン技術を活用した貿易手続きの完全電子化プラットフォームを運営しています。 https://www.tradewaltz.com/
憧れの姿を追い求めて
――まずは自己紹介をお願いします。
現在は東京都市大学付属高等学校に通っており、アイスホッケー部と軽音楽部に所属しています。学校活動では、文化祭の運営委員と生徒会の体連委員長を務めていて…。兼務しすぎだと先生に怒られましたが(笑)、自由な校風のもと、いろいろなことに挑戦しています。
中高一貫校ということもあり、中学生の頃から高校の先輩方が活躍する姿を目にする機会が多くありました。その中でも特に、文化祭のクオリティの高さに圧倒されましたね。「先輩方のようになりたい」、と中学3年生から飛び込んだ文化祭実行委員会では、ホームページやパンフレット、アプリ制作を経験しました。
――デザインも文化祭運営委員会の活動を通して勉強されたのでしょうか?
はい。2つ上の先輩方が引継ぎをする際に、「デザイン関連のことを引き継げそうな人がいない」という話を耳にし、自ら手を挙げたのがきっかけです。その後は、少しでも自分に吸収できるものはないかと、積極的にいろいろな資料や作品を見るようになりました。美術館へもよく行っています。

メッセージを確実に届ける
――なぜトレードワルツのコンペに応募しようと思ったのですか?
高校へ進学後、クリエイティブ作業用のソフトを購入しました。文化祭のためでもあったのですが、お金を出して買ったからには、これをお金にできないかと思うようになって…。そこで登竜門(※)を見ていたときに発見したのが、トレードワルツのコンペでした。
日ごろから、貿易関連のニュースは新聞で読んで面白いと感じていたことと、1つの作品を作り上げてみたいという気持ちが重なって、応募を決意しました。ブロックチェーンについても新聞で目にしたことはあったな、と。資料を読んで仕組みを理解していったときは点と点がつながった気がして、ますます興味が湧きました。
※コンペや公募、アワードなどのコンテスト情報を掲載したWebサイト
――トレードワルツの会社案内パンフレットを制作した感想や工夫したポイントを教えてください。
事業内容の難しさはもちろんですが、パンフレット制作そのものにも難しさを感じました。必要に応じてページ数を増やせたり、下に伸ばせたりするホームページ制作とは異なり、パンフレット制作では載せられる情報量に限りがあります。「視認性を落とさないように気をつけながら、多くの情報を伝える」という点が難しかったですね。
一番工夫したポイントは、見やすさです。具体的なサービス内容や導入効果を紹介するページは、イラストを挿入したり、かみ砕いた表現を使用したりすることで、貿易やブロックチェーンのことを知らない人が見ても分かるようなデザインにできたと思います。サービスの提供者目線に立ちながら、大切なメッセージが確実に届くように、フォントや文字の大きさ、色の濃さにも配慮しました。
――最終審査会はいかがでしたか?
とても緊張しました。でもそれ以上に、美術を専門に学んできた大学生の方々と同じ土俵に立てたことが嬉しかったですね。
他の参加者の作品から得た、学びや気づきもありました。今回のように紙ではなくPDFのパンフレットの場合、PDFだからこそできることもあるんだな、と。今後は固定概念にとらわれず、もっといろいろな工夫を加えながら制作していきたいです。
限られた時間を最大限活用
――約1か月間、トレードワルツでインターンをしてみていかがですか?
今まで学校という狭い世界にいたということもあり、一気に世界が広がった感じがします。トレードワルツが提供するサービスに興味を持っている企業や団体の多さにもびっくりしましたね。自分たちから営業をかけるよりも前に、先方から「ぜひ使いたいです!」とメールが届くことに衝撃を覚えました。
春休み期間中はおもに、国際商業会議所(ICC)英国委員会が主催した「ICCデジタル貿易カンファレンス」用の動画制作に携わりました。所属するチームの定例会では議事録を取る機会も多かったのですが、ビジネスの現場での議事録取りはとても勉強になっています。ビジネスメールの書き方は、高校の文化祭関連で企業様とやり取りするうえでも活かせると思いました。

――学業や部活動、生徒会活動とどのように両立させていますか?
インターンを始めてから時間の大切さが分かるようになり、時間管理ができるようになりました。限られた時間の中で効率的に勉強を進められるように、平日は毎日2時間、塾の自習室へ通っています。自分で目標設定をして計画的に勉強を進められるようになった結果、むしろインターンを始めてからの方が成績は良くなったんです。
僕の挑戦を両親も応援してくれています。勉強や学校生活を第一にしつつ、会社でやらせてもらえることがあるなら挑戦したら良いんじゃない、と。忙しくなると家族で過ごす時間も減りがちですが、空いている時間はなるべくコミュニケーションをとるようにしています。
願望で終わらせない
――今後挑戦したいことや夢を教えてください。
もともと飛行機が好きで、将来は航空会社に入りたいと思っています。パイロットになりたいと思っていたのですが、今はあれもやりたい、これもやりたいと思って少しブレ気味です。(笑)ただ、普通の仕事もできるしデザインや企画もできる、といった「マルチタスクをこなせる人になれたら」と思っています。

――最後に、デザイナーやクリエイターを目指す学生にメッセージをお願いします!
なにか新しいことを始めるときって、どうしてもリスクを考えがちだと思うんです。でも、願望で終わらせずに本気で挑戦したいのなら、とにかく行動に移すことが大切だなと思います。「行動に移せば、とんとん拍子に進むこともある」と身をもって感じました。
たとえ小さいアクションであっても、自ら行動に移す。そうすることで、「自分の未来は自分で変えられるのでは」と思います。
取材:岡村未来、文:中條ふみ